国立国会図書館から引用

税制改正に関する法律案要綱及び取引高税法案要綱

昭和23年5月26日 閣議決定

第一 方針
 賃銀、物価等経済諸情勢の推移に応じて、国民の租税負担を調整、合理化するとともに、財政需要に対応して、租税収入を確保する等のため、次の方針により税制の改正を行うこと。
 一 所得税については、賃銀、物価等の変動に伴う所得状況の推移課税の実情に照し、負担を軽減するため、基礎控除、扶養控除、勤労控除、税率等につき所要の改正を行うこと。
 二 法人税については、産業の振興、外資の導入、株式の大衆化等に資するため、負担を軽減すること。なお、特別法人に関する規定を法人税法に統合すること。
 三 物価の変動に即応して、間接税中従量課税の酒税、清涼飲料税、砂糖消費税、燐寸、飴類に対する物品税並びに定額税率による登録税、骨牌税、印紙税及び狩猟免許税について相当の増徴を行うこと。なお、物品税を課せられる物品中負担過重と認められる特定のものについて税率の調整等を行うこと。
 四 有価証券移転税及び取引税について相当の増徴を行い、通行税については、従来の従粁税を従価税率に改めること。
 五 経済情勢の変動に即応して租税収入を確保し財政の基礎を堅実ならしめるとともに、所得税、法人税の増収の一部を補填するため、取引高税を創設すること。
 六 最近における徴税の実情に顧み加算税、追徴税等に関する規定の改正を行うとともに、直接国税に関する調査権限の拡充等を行い、脱税の防止、取締に資すること。
第二 要領
 一 所得税
 (一)税率を次のように改正すること。
    二万円以下の金額   百分の二十  (現行一万円以下  百分の二十)
                      ( 〃 一万円を超える金額 百分の二十五)
    二万円を超える金額  百分の二十五 (現行百分の三十五)
                      (  〃 三万円を超える金額 百分の四十)
    四万円を超える金額  百分の三十  (現行百分の四十五)
                      (  〃 五万円を超える金額 百分の五十)
    七万円を超える金額  百分の三十五 (現行百分の五十七)
                      (  〃 九万円を超える金額 百分の六十四)
    十万円を超える金額  百分の四十  (現行百分の六十四)
                      ( 〃 十二万円を超える金額 百分の六十八)
   十五万円を超える金額  百分の四十五 (現行百分の七十二)
   二十万円を超える金額  百分の五十  (現行百分の七十六
                      (〃 二十五万円を超える金額 百分の八十)
   三十万円を超える金額  百分の五十五 (現行百分の八十二)
   五十万円を超える金額  百分の六十  (現行百分の八十四)
   七十万円を超える金額  百分の六十五 (現行百分の八十四)
   百万円を超える金額   百分の七十  (現行百分の八十五)
   二百万円を超える金額  百分の七十五 (現行百分の八十五)
   五百万円を超える金額  百分の八十(現行百分の八十五)
(二)給与所得の計算について、その年の収入金額から控除すべき金額は、その十分の二・五に相当する金額(最高五万円)とすること。但し、昭和二十三年分の所得税については、収入金額五万円までの金額の十分の二・五、五万円を超え二十万円までの金額の十分の一・四五八に相当する金額(最高三万四千三百七十円)とすること。(現行十分の二・五最高一万二千五百円)
(三)基礎控除額を年一万五千円に引き上げること。但し、昭和二十三年分の所得税にっいては、一万七百五十円とすること。(現行四千八百円)
(四)同居親族のうちに事業等所得を有する者の外に給与所得又は退職所得を有する者が二人以上あるときは、事業等所得の金額及び給与所得又は退職所得の金額からそれぞれ基礎控除を行うこととする。
(五)扶養親族の控除額は、扶養親族一人につき税額において年千八百円とすること。但し、昭和二十三年分の所得税については千二百五十円とすること。(現行四百八十円)
(六)簡易税額表を適用する場合を、所得金額二十二万円程度(現行八万円)まで拡張すること。
(七)外国人及び外国法人に対する利子所得、配当所得等の税率を内国人及び内国法人と同様百分の二十とすること。(現行百分の三十又は百分の二十五)
(八)予定申告書及び確定申告書の提出を要しない者の範囲を拡張すること。
(九)右の改正に伴い、簡易税額表及び源泉徴収額表を改正するとともに、源泉徴収額中半月額表及び旬額表を廃止すること。
 (註)賞与等給与所得に対する源泉徴収額表の税率適用を若干引き上げること。
二 法人税及び特別法人税
(一)特別法人税を廃止し、特別法人に関する規定を法人税法に統合すること。
 (註)普通所得に対する税率を当分のうち一般の法人の場合に比し百分の五軽減するとともに、事業分量に応ずる配当は損金に算入すること。
(二)資本に対する法人税の課税を廃止すること。
(三)超過所得の税率を次のように改めること。
  資本金の三割超過額  百分の十  (現行一割超百分の十)
  同   五割超過額  百分の十五 (同二割超百分の二十)
(四)外国法人に対する普通所得の税率を内地法人と同様、百分の三十五とすること。(現行百分の四十五)
(五)同族会社に対する加算税の税率について所得税の税率と権衡を採り必要な改正を行うこと。
(六)課税の充実を図るため、必要に応じ納税地を指定し、営業の事実上の中心地において課税する途を拓き、併せて支店等の所轄税務署長等に支店等の調査の権限を与えること。
三 有価証券移転税
 株券に対する税率を十割程度増徴すること。(現行千分の一乃至千分の四)
四 相続税
 (一)課税価格に算入しない少額贈与額の限度を三千円程度(現行十円)に引き上げ、その他の免税点についても相当程度の引き上げを行うこと。
 (二)延納を求めることができる税額の限度を三万円程度(現行一万円)に引き上げるとともに納税の困難でないと認められる者に対しては、延納年限の短縮、延納年割額の変更等をなし得る等の規定を設けること。
五 通行税
 (一)税率を次のように改めること。
 普通税率を料金の百分の五の比例税率とすること。 
  (現行一等一粁につき四銭)
  ( 〃二等  〃  二銭)
  ( 〃三等  〃  五厘)
 急行及び寝台料金の税率を百分の二十とすること。
  (現行一等   百分の六十)
  ( 〃二等   百分の四十)
  ( 〃三等   百分の二十)
 (二)二十粁以下の三等乗客に対する非課税規定を廃止すること。
  (註)三等定期券に対する非課税規定は、これを存置すること。
六 登録税
 定額税率について十割程度の増徴を行うこと。
七 租税特別措置法
 (一)農林中央金庫、商工組合中央金庫、市街地信用組合等にも登録公社債等に対する所得税の免除を行うこと。
 (二)企業再建整備等に伴い第二会社を設立する場合等の法制上の措置を講ずること。
 (三)輸入砂糖及び食糧配給公団の配給する葡萄糖等であって主食強制代替配給のものに対する砂糖消費税及び物品税について免税規定を設けること。
八 酒税
 (一)清酒について一升壜詰の小売価格を一級酒四百円程度(現行二百九十五円)に、二級酒三百円程度(現行二百四十円)に、麦酒について壜詰一本の小売価格を六十円(現行四十一円五十銭)に引上げる程度の増徴を行い、その他の酒類についても、品質に応じ税負担に差等を設けこれに準ずる増徴を行うこと。
 (二)特別価格で販売する酒類の価格を一級清酒八百円程度(現行六百円)、二級清酒六百五十円程度(現行五百四十円)、麦酒壜詰百三十円程度(現行百一円五十銭)とすること。
九 清涼飲料税
 第二種サイダーの税率を一石について九千五百円(現行六千九百円)に引き上げ、その他の清涼飲料についても同程度の税率の引き上げを行うこと。
十 砂糖消費税
 砂糠については、税率の区分を簡素化するとともに、第二種(分密糖)に対する税率を百斤につき二千二百円(現行千五百円又は千八十円)に引き上げ、その他の砂糖、糖蜜及び糖水についても同程度の税率の引き上げを行うこと。
十一 物品税
 (一)燐寸に対する税率を千本につき六円(現行三円)に、飴類に対する税率を百斤につき二千七百円(現行千八百円)に引き上げること。
 (二)第一種の物品中時計、文房具、漆器、陶磁器、ラジオ聴取機、電球類、ミシン等について、税率を一段階引き下げるとともに、課税最低限の引き上げを行うこと。
十二 入場税及び特別入場税
 (一)無料入場に対して課税すること。
 (二)入場料又は収益の総額を慈善事業に充てる場合の免税の制度を廃止すること。
 (三)入場税について納期を翌月十日(現行翌月末日)に繰り上げるとともに、申告納税制度に改めること。
十三 取引所税
 取引税について第二種の税率を万分の二十(現行万分の十)に引き上げる等の改正を行うこと。
十四 骨牌税
 税率を、一組について、麻雀千五百円(現行行千円)、その他の骨牌百三十円(現行百円)に引き上げる等の増徴を行うこと。
十五 印紙税
 税率を、一箇について、委任状、受取書等二円(現行一円)、預金通帳以外の通帳四円(現行二円)とする等定額税率の引き上げを行うこと。
十六 狩猟免許税
 税率を、一等三千六百円(現行二千四百円)、二等千八百円(現行千二百円)、三等七百五十円(現行五百円)程度に引き上げる等の改正を行うこと
十七 国税犯則取締法
 直接国税に関する犯則事件の調査を強力、且つ迅速に行い、課税の徹底を期するため、収税官吏の調査権限を拡充強化するとともに、国税の課税標準の申告をしないこと国税の徴収又は納付をしないこと等を煽動又は強要した者を処罰する規定を設けるため、間接国税犯則者処分法を改正して国税犯則取締法を制定すること。
十八 関税法
 関税法の犯則事件に対する罰則等の規定を整備強化すること。
十九 その他
 (一)加算税、追徴税及び罰則を整備強化すること。
 (二)国税徴収法の延滞金を引上げるとともに、国税の過誤納金に還付加算金を附すること。
 (三)土地の賃貸価格の一般的改訂を一年延期すること。
 (四)その他各税法につき規定の整備を行うこと。

 取引高税法案要綱
一、総則
 この法律の施行地において営業者が営業として行う取引には、取引高税を課すること。
二、課税範囲
 (一)取引高税を課すべき営業は、左に掲げる営業とすること。
  (1)物品販売業(動植物その他普通に物品といわないものの販売業を合む。)(2)銀行業(3)無尽業(4)信託業(5)保険業(6)金銭貨付業(7)物品貨付業(動植物その他普通に物品といわないものの貨付業を含む。)(8)製造業(物品の加工修理業を含む。)(9)ガス供給業(10)電気供給業(11)無線電話放送事業(12)運送業(13)運送取扱業(14)自動車道事業(15)運河業(16)さん橋業(17)船舶てい繋場業(18)貨物陸揚場業(19)倉庫業(物品の寄託を受け、これを保管する業を合む。)(20)請負業(21)印刷業(22)出版業(23)写真業(24)席貸業(25)旅人宿業(26)料理店業(27)周旋業(28)代理業(29)仲立業(30)問屋業(31)両替業(32)鉱業(33)砂鉱業(34)湯屋業(35)理容業(36)演劇興行業(37)寄席業(38)遊技所業(39)遊覧所業
 営利を目的としない法人が、前項の営業と同種の事業を行う場合においては、その事業については取引高税を課すること。但し、国及び地方公共団体に課税しないこと。
(二)左に掲げる取引には、取引高税を課さないこと。
 (1)郵便切手類及び専売品の販売
 (2)小学校又は中学校(もう学校、ろう学校等を含む。)の教科用図書の発行又は販売又は取次
 (3)輸出取引(国又は鉱工品貿易公団、繊維貿易公団若しくは食糧貿易公団に対する輸出のためにする物品の販売を含む。)
 (4)食糧管理法の規定による主要食糧の取次、製造、加工又は販売。但し、自已の生活上消費する者(外食券食堂を含む。)以外の者に対する販売を除く。
 (5)国が価格調整補給金を交付する一定の物品に関する取引。但し、配炭公団又は肥料配給公団の行う石炭又は肥料の販売で価格調整補給金の支給を受けるものに限る。
 (6)価格調整公団がなす価格等の調整のためになす取引
 (7) 自己の収穫した農産物(繭を含む。)、林産物若しくは水産物の販売又は之を原料として製造した物の販売。但し、特に営業所を有する等の行う販売を除く。
 (8) 有価証券の移転及び入場税、通行税、馬券税又は取引税を課せられる取引等
三、納税義務者
 取引高税の納税義務者は、取引の対価として取引金額を領収する営業者等とすること。
四、課税標準及び税率
 (一)課税標準
  取引高税の課税標準は、取引の対価として領収する金額(交換又は代物弁済等の場合における給付価額を含む。)であって、左に掲げるものとすること。 
  (1)物品販売業にあっては、売上金額
  (2)銀行業にあっては、貸付金利息、割引料、手数料、有価証券貸付料、債務保証料、保護預り料その他取引から生ずる収入金額でこれらの性質を有するもの
  (3)無尽業にあっては、無尽利益金、入札差金益、貸付金利息、手数料その他取引から生ずる収入金額でこれらの性質を有するもの
  (4)信託業にあっては、信託報酬、貨付金利息、手数料、有価証券貸付料、債務保証料、保護預り料その他取引から生ずる収入金額でこれらの性質を有するもの
  (5)保険業にあっては、払込保険料額(生命保険については、百分の七十に相当する金額を控除した金額とし、強制加入の保険については、全額を除く。)、貸付金利息、手数料、有価証券貸付料、債務保証料、保護預り料その他取引から生ずる収入金額でこれらの性質を有するもの
  (6)運送取扱業、周旋業、代理業、仲立業、問屋業及び両替業にあっては、手数料又は報償金額
  (7)その他の営業にあっては、その取引から生ずる収入金額
 (二)税率
 取引高税の税率は、取引金額の百分の一とすること。
五 納付及び申告
 (一)取引高税は、取引高税印紙をもって、これを納付すること。但し、取引高税額に相当する現金を政府に支払い、その支払った金額の表示を受けた紙片をもって、印紙に代えることができること。(以下一括して印紙という。)
 (二)取引高税の納税義務者は、取引金額を領収の際、その税額に相当する金額の印紙を消印して、これを取引の相手方に交付しなければならないこと。但し、一取引の取引金額が一万円以上の取引については、受取書等に印紙を貼用して消印する方法によること。
 (三)一取引の取引金額が五十円未満の場合等においては、毎月分の取引高税を一括して翌月十日までに印紙をもって政府に納付すること。
 (四)納税義務者は、毎三箇月分の取引金額及び税額を記載した申告書を翌月十日までに政府に提出しなげればならないこと。
六 銀行業等に関する申告及び納付の特例
 (一)銀行業、無尽業、信託業、保険業、ガス供給業、電気供給業、無線電話放送事業又は運送事業中鉄道業(軌道業を含む。)、海運業(平水区域内の水上運送を含む。)若しくは自動車運送事業(道路運送法第十条第一号(一)又は(三)に規定するものに限る。)等をなす者は、毎月分の取引金額及び税額を記載した申告書を翌月十日までに政府に、これを拠出しなければならないこと。
 (二)(一)の申告書に記載された税額の取引高税は申告書の提出期限までにこれを納付すること。
七 更正及び決定
 (一)申告書の提出があった場合等において、申告に係る取引金額又は税額が政府において調査したところと異るときは、政府は取引金額又は税額を更正すること。
 (二)申告書の提出がなかった場合においては、政府は取引金額又は税額を決定すること。
八 その他
 (一)取引高税の納税義務者は、印紙購入通帳を備え付け、印紙を購入しようとするときは、印紙を販売する者に対し印紙購入通帳を呈示し、これに購入する印紙の金額等を証する表示を受けなければならないこと。
 (二)学校又は社会事業、保護施設等を営む者が五の(二)により交付された印紙を集めて政府に提出したときは、政府は当該印紙の額面額一円以下の場合はその百分の五、一円を超え十円以下の場合はその百分の三、十円を超える場合はその百分の二に相当する金額の交付金を交付すること。
 (三)その他収税官吏の質問検査権、罰則に関する規定を設けること。

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