国立国会図書館から引用

電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律案要綱(スト規制法案要綱)

昭和28年2月10日 閣議決定

第一 本法案は、電気事業及び石炭鉱業の特殊性並びに国民経済及び国民生活に対する重要性に鑑み、公共の福祉擁護のため、これらの事業について争議行為の方法に関する必要な措置を定めるものとすること。
第二 電気事業の事業主及び従事者は、争議行為として、電気の正常な供給を停止する行為その他の電気の正常な供給に直接障害を与える行為をしてはならないものとすること。
第三 石炭鉱業の事業主及び従事者は、争議行為として、鉱山保安法所定の保安業務の正常な運営を阻害する行為であって,鉱山における人に対する危害、資源の滅失若しくは重大な損壊又は重要な施設の荒廃を生ずものその他不当な行為をしてはならないものとすること。

同上法律案要綱説明
1 総括的事項
 (1) 昨冬行われた電産、炭労の両ストライキは、幸にして最後の段階において収拾されたとはいえ、その国民経済、国民生活に与えた脅威と損害とは実に甚大なものがあった。この苦い経験に鑑み、またわが国経済、国民生活及び労使関係の現状に省みて、この種ストライキの影響を最少限にするため、争議行為の方法について必要な措置を定め、もって公共の福祉を擁護せんとすることが、本法案の目的である。
 (2) 公共的性質を有する産業は、ひとり電気、石炭に限るものではないが、種々検討の結果、今回は所謂基礎産業中でも最も基本的な重要産業であり、然も昨年現実の惨害を生じ、争議行為の方法規制の必要が緊急のものとなっている石炭、電気についてのみ規定することとしたものである。
 (3) 労使関係の事項については、法をもってこれを抑制規律するよりは、労使の良識と健全な慣行の成熟に俟つことが望ましいが,一面政府としては、このことに籍口して徒らに手を拱いて当面緊急の問題に対して対策を怠ることは許されないので,本法案により公共の福祉擁護のため必要な最少限の措置を取り敢えず講ぜんとするものである。
 (4) 一般の労使関係並びにその調整については、昨年独立後の情勢に処して一応の改正を了しているのであり、よって今回は労組法、労調法については改正を行わず、専ら公益擁護の立場から右に述べた如き目的達成の最少限の法律として、単行法の形をとるものである。
 (5) 本法案には罰則は特に附さないが,この禁止に遠反する行為は、不当なる争議行為として労働法上の保護を与えられず,損害賠償の請求を免れず、刑罰法規に該当するものは処罰を免れない。
二各論
 (1) 電気事業及び石炭鉱業の国民経済及び国民生活における重要性並びにその事業とその生産物たる電気、石炭の自然的経済的社会的特性については、所謂基礎産業乃至公共的諸産業の中でも特別のものがあることは言を侯たない。かかる特殊性及び重要性に鑑み、1において述べた如き見地から、争議権と公益の調和を図り、もって公共の福祉を擁護するために、争議行為の方法について必要最少限の規制措置を定めることが本法案の趣旨であることを要綱第一において明かにしている。
 規制の対象は争議権に基く争議行為の方法に限られるものであって、公務員等における如く、争議権そのものを否定するものとは、本法案は全くその趣旨を果にする。
 (2) 要綱第二は、所謂停電スト、電源スト、その他電気の正常な供給の停廃を直按に生ずる争議行為の方法を禁ずることを明かにしている。蓋し、停電スト、電源スト等は、これに携わる人員は全電気産業労働者の2割内外の少数にすぎないと同時に、これによって労働者の失う賃金及び使用者の失う料金収入は、電気供給の停廃によって需要者が不可避的に蒙る物質的、精神的損失に比して極めて僅かなものであって、この点他の争議行為の方法と全くその類を異にし、電気事業の公共性に矛盾すること甚しき争議手段といわなげればならない。
 本項による禁止によっても、電気事業労働者の右以外の大多数の者の争議手段については制限を受けなく、労使の交渉力の均等は何等損われることはない。正にここにこそ電気事業の性格に基く争議権と公共の福祉の調和が求められるべきものである。
 事業主が発電所、変電所等の業務停廃を来すロックアウトを行い得ざることは当然である。
 (3) 要綱第三は,石炭鉱業において、鉱山保安法所定の保安業務の正常な運営を阻害する行為で、溢水、落盤、自然発火、有毒ガス充満等を来して、人命に危害を及ぼしたり、乃至炭鉱の破壊を招いたり,長く復帰すべき職場を失わしめたりする如き保安抛棄の行為は、争議行施として正当性を逸脱するものなることは昨冬炭労ストに対する政府声明にも明かにされており、極めて自明の事柄である。本項は、この自明のことを特に石炭鉱業について若干の顕著な事例を例示して法律をもって宣言するものである。

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