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電源開発に伴う水没その他による損失補償要綱

昭和28年4月14日 閣議了解

第一章 通則
(目的)
第一条 この要綱は、電源開発促進法第七条に規定する公正な補償の実施に資するため電源開発等に伴う農地、林野、家屋等の所有権、地上権、賃借権等の権利、その他慣習上認められた利益の滅失、毀損等によって生ずる損失の補償及びこれらの権利の買収並びに索道、軌道、仮設備等の設置に伴う土地、家屋等の賃借料及び損失補償額の基準を定めることを目的とする。
(定義)
第二条 この要綱において「電源開発等」とは、電源の開発及び送電、変電施設の整備をいう。
2 この要綱において「財産」とは土地、家屋等の所有権、地上権、永小作権、地役権、鉱業権、租鉱権、採石権、漁業権、入漁権、賃借権等の権利、その他慣習上認められた利益であつて電源の開発等に伴つて損失を蒙る財産をいう。
3 この要綱において「買収」とは、財産を電源開発等の用に供するため買収することをいう。
4 この要綱において「使用」とは、電源開発等の用に供するため賃借することをいう。
(評価の時期及び価格)
第三条 この要綱による財産の買収価額、賃借料又は損失補償額は買収価額にあつては買収の時における価額、賃借料にあつては使用開始の時における価額又は契約変更の時における損失補償額にあつてはその損失発生時における価額によつて算定する。
2 前項の価格は法令に定めのあるものについてはその法令の定める額の範囲内の価額による。
3 この要綱によつて算定した財産の買収価額、賃借料又ほ揖失補償額は前項に該当するものを除き、その財産及び近傍類似の財産の売買価額、賃借料等を考慮して適正に補正するものとする。
(支払の時期及び方法)
第四条 この要綱による買収価額及び損失補償額の支払は、原則として前払とする。この場合において算定が困難であるときは概算払によることができる。
(算定方法の定がない場合の算定)
第五条 この要綱において算定方法を定めていない財産については、この要綱による算定方法に準じてその価額を算定するものとする。
(特殊異例の財産に対する損失補償)
第六条 文化財等の特殊異例の財産について、この要綱の規定により難い場合はその実情に応じ適正に補償するものとする。
(損失補償の方法)
第七条 損失の補償は、補償を受ける者の意志を尊重し、金銭又は替地もしくは代替施設の提供その他の方法をも行うものとする。
(謝金)
第八条 この要綱により財産に対する損失の補償を行う外、精神的打撃を緩和する意味において謝金を贈る場合には、家族数、その家族の居住期間、移転先その他の事情を考慮してその額を定めるものとする。
(適用範囲)
第九条 この要綱は、土地の形質の変更、工作物の新築、改築、増築もしくは大修繕又は財産の付加増置がもつぱら補償の増大のみを目的とする等権利等の設定及び移動がその濫用にわたるものと認められる場合に適用されるものと解してはならない。
第二章 替地、代替施設の提供による補償
(替地、代替施設の提供)
第十条 財産を有する者の要求がある場合において、客観的にその実現が可能であり、かつ、適当であつてその実現に要する費用又はその実現による便益が左に掲げる基準に照し相当であるときは、替地又は代替施設の提供をもつて損失を補償するものとする。
 一 替地となるべき農地を造成して提供する場合にあつては、国が行う農地の造成に通常要する費用。この場合、農地には農用林その他の付帯地を含めるものとし、その取得に要する費用についてはこの要綱により算定した既存の農用林その他の付帯地の価額とする。
 二 鉄道、軌道、道路、林道、水路等の付替にあつては、従前の施設がもたらした便益の限度
 三 損失防止施設の設置等にあつては、損失を受けるおそれのある権利若しくは利益の価格又は類似の施設に要しもしくは要すべき費用を物価その他の事情を考慮して適正に補正した額
2 前項第二号及び第三号の場合において、なお、損失が発生するときは、その損失を金銭で補償するものとする。
(改良及び減収の補償)
第十一条 前条の規定により替地となるべき農地(農用林その他の付帯地を除く)を提供する場合は、その改良に通常要する費用に減収補償として第二十八条に規定する離作料相当額を加算した額を支払うものとする。
第三章 金銭による補償
 第一節 財産の買収による買収価額及び損失補償額
  第一款 土地
(農地、採草地、放牧地)
第十二条 農地、採草地、放牧地を買収する場合は、次の各号により算定した額を買収価額とする。
 一 農地にあつては、富裕税課税の場合の評価方法により、自作地及び小作地についてそれぞれ算出した額
 二 小作採草地及び小作放牧地にあつては、富裕税課税の場合の評価方法によりそれぞれ算出した額
 三 自作採草地及び自作放牧地にあつては、前号と同様の方法によりそれぞれ算定した額に第二十二条第二号により算定した利用権の価額を加算した額
2 農地法(旧自作農創設特別措置法を含む)により売渡を受けた開拓地を農地法第六十七条第一項第六号の時期到来後三年を経過するまでの間(旧自作農創設特別措置法により売渡された開拓地については、売渡の時期から八年間)に買収する場合は、政府売渡価額にその土地の開墾、改良に要した費用を加算した額を買収価額とする。
(農地、採草地、放牧地以外の土地)
第十三条 農地、採草地、放牧地以外の土地を買収する場合は、次の各号により算定した額を買収価額とする。
 一 富裕税課税の場合の評価方法により算出した額(以下「富裕税評価額」という)
 二 買収する者の現に使用中の土地については、使用開始時の現状における近傍類似の土地の買収時の価額に準じて算出した額
2 開拓地にある宅地を農地法第六十七条第一項第六号の時期到来後三年を経過するまでの間(旧自作農創設特別措置法によつて売渡された土地については、売渡の時期から八年間)に買収する場合は、政府売渡価額に宅地の造成に要した費用を加算した額を買収価額とする。
(借地権の目約となつている土地)
第十四条 借地権の目的となつている土地の買収価額は、前条の買収価額から借地権の価額に相当する金額を差引いた額とする。
  第二款 土地の定着物及び動産
(建物)
第十五条 建物を買収する場合は、その建物の推定再建築費を買収時までの経過年数及び維持保存の状況に応じて減価した額を買収価額とする。
2 借家権の目的となつている家屋の買収価額は、前項の買収価額から借家権の価額に相当する金額を差し引いた額とする。
(工作物及び設備)
第十六条 工作物及び設備を買収する場合は、その工作物及び設備の推定再建設費を買収時までの経過年数及び維持保存の状況に応じて減価した額を買収価額とする。
(立竹木)
第十七条 用材林の立木を買収する場合は、次の各号により算定した額を買収価額とする。
 一 伐期(地方慣行の最低伐期、以下同じ)以上の森林の立木価額は、樹種別に定める評定単価をその樹種、材種に乗じて得た総額に末木、技条、樹皮等の副産物の価額を加算した額とする。
 この場合における評定単価の算定の方法は、次の通りとする。
 
     X=F(A/(1+np)−B)
  X‥‥‥評定単価
  A‥‥‥素材の最寄市場単価
  P‥‥‥伐採事業の総資本月収益率
  F‥‥‥利用率
  n‥‥‥資本回収期間
  B‥‥‥素材の単位材積当りの事業費の合計額
 二 伐期末満の森林の立木価額は、その林令の毎年の造林等の経費のその森林の収益率によるその林令までの元利合計額とする。但し、用材としての市場価額のある場合は前号による。
2 薪炭林の立木を買収する場合は、幹、枝条部及び台木についてそれぞれ次の各号により算出した額の合計額とする。
 一 伐期以上の森林の幹及び枝条部については、前項第一号に準じて算出した額
 二 伐期末満の森林の幹及び枝条部については、その立木の伐期における収入見込額に現在林令と伐期林令との比を乗じて算出した額
 三 台木の価額は、耐用年数に応じて将来の各伐期における純収益見込額を年利廻によつて評価時に還元した額
3 対象林における立木が用薪混合して存在するときは、用薪別にそれぞれ前二項の規定を適用して算出した額の合計額とする。
4 竹林を買収する場合は竹材、筍及び根茎について、それぞれ次の各号により算出した額の合計額とする。
 一 竹材及び筍については、その採取の時期にあるものにつきその山渡価額
 二 根茎については、その竹林よりあげ得べき一年間の平均純収益を年利廻で除して得た額
5 前各項以外の立竹木については、それぞれ類似する前各項の規定を準用して算出した額とする。
(果樹等)
第十八条 果樹、桑樹もしくは茶樹等又はうるし樹、はぜ樹等の特用樹等を買収する場合は、富裕税評価額を買収価額とする。
(特産物)
第十九条 移植不能の特産物(松たけ等)を買収する場合は、その年間純収益を年利廻りで除して得た額を買収価額とする。
(動産)
第二十条 動産を買収する場合は、その動産の新品取得価額を買収時までの経過年数及び維持保存の状況に応じて減価した額を買収価額とする。
  第三款 地上権等の権利
(地上権及び永小作権)
第二十一条 地上権及び永小作権の価額は、それぞれの目的となつている土地にそれらの権利が設定されていない場合の価額に、富裕税法第十三条に規定する割合を乗じて算出した額とする。
2 農地もしくは採草放牧地の上に設定された地上権もしくは永小作権で昭和二十一年十二月二十八日以前から設定されているものの価額は、農地法施行令第二条第一項の算定方法により算出した額とする。
3 立木一代限りとして設定された地上権等その存続期間の不確定な権利にあつては、現況により残存期間を適正に見積り前項の規定を適用する。
4 存続期間の定めのない永小作権については、別段の慣習がある場合を除き存続期間を三十年とする。
(耕作権及び利用権等)
第二十二条 小作地における耕作権の価額は、富裕税評価額とする。
2 小作採草地及び小作放牧地における利用権又は入会権に基く落葉、小柴、山菜等の採取による利益の価額は、その土地を利用して得られる年収益額(小作採草地及び小作放牧地にあつては、その所有者に支払うべき地代を控除した額)を年利廻で除して得た額とする。
(借地権及び借家権)
第二十三条 借地権及び借家権の価額は、富裕税評価額とする。
(営業権)
第二十四条 営業権の価額は、その営業の超過収益額を年利廻で除して得た額とする。
(鉱業権及び租鉱権)
第二十五条 鉱業権及び租鉱権の価額は、次の各号により算定した額とする。
 一 買収時において操業している鉱山における鉱業権については次の算式により算出した額
   (数式省略)
 a‥‥‥鉱山が毎年実現しうべき純収益(純収益算定の基礎となる原価には、鉱業権及び坑道の減価償却費を含まないものとする)
 S‥‥‥報酬利率(年九分とする)
 r‥‥‥蓄積利率(年六分とする)
 n・・・・・・可採年数(可採年数を決定する場合は、確定鉱量、推定鉱量及び予想鉱量を含み、鉱量計算についてはJISによる)
 二 未着手のまま据置期間のある場合の鉱山における鉱業権については、次の算式により算出した額
     (数式省略)
 m‥‥‥据置期間
 a・S・r及びn‥‥‥前号の定める通りとする。
 三 開坑後予定収益を生ずるまでに期間のある場合における鉱業権については次の算式により算出した額
     (数式省略)
 a・S・r・n及びm‥‥‥前二号に定める通りとする。
 四 探鉱中の鉱山又は、未着手の鉱山であつて、鉱量が不明であり、かつ、将来の収益が不確定のものにおける鉱業権については、その鉱区に投下された費用を現価に換算した額
 五 租鉱権にあつては、前各号に準じてそれぞれ算出した額
(採石権)
第二十六条 採石権の価額は、鉱業権の評価方法に準じて算定した額とする。
(漁業権及び入漁権)
第二十七条 漁業権及び入漁権の価額は、次の各号により算定した額とする。
 一 漁業権及び入漁権に基く漁業による平年漁業収益額(買収時前五年以上の平均漁獲数量に買収時の魚価を乗じて得た額から買収時の価額による年間漁業経営費−自家労働の評価額を除く。以下同じ−を控除した額)を年利廻で除して得た額の八十パーセントの額
 二 漁業権及び入漁権の一部が制限され漁獲高の減少がある場合においては、平均漁業収益額から推定漁業収益額(買収時以後における年間推定漁獲数量に、買収時の魚価を乗じて得た額から買収時以後の年間漁業経営費を差し引いた額)を差し引いた額を年利廻で除して得た額の八十パーセントの額
 三 許可を受けて漁業を営む者及び免税又は許可を要しない漁業を営んでいる者については、前二号に準じて算出した額。但し当該漁業が兼業又は副業である場合は、第三十二条により算出した額
  第四款 買収に伴う損失補償額
(離作料)
第二十八条 農地を買収する場合は、第十二条第一項第一号の自作地及び第二項の開拓地の買収価額並びに第二十二条第一項の小作地における耕作権の価額に離作料を加算するものとする。
2 離作料は、その農地を利用して得られる年間農業収益額の四年から六年分とする。
3 前項の年間農業収益額は、農業粗収入から農業経営費を差引いたものとし、所得税の課税標準に用いた農業粗収入及び農業経営費によるものとする。但し、次の場合においては、実際の調査により算出する。
 一 開拓農地にて年々収量が逓増の過程にある場合
 二 零細農家の場合
 三 従来使用中の農地であつて税務署の査定額のない場合
 四 兼業及び副業を営む場合で農業経営と農業経営以外の経営における営業費の分離が困難な場合
 五 その他実地調査が必要と認められる場合
4 前項の農業粗収入は、農作物の販売代金、養畜、養蚕及びその他の農業雑収入の合計額とする。(以下同じ)
5 第三項の農業経営費は、農業収入を挙げるに要するすべての費用であつてその主なるものは次の通りとする。(以下同じ)
 (1)種苗費
 (2)肥料費
 (3)雇よう労務費
 (4)防除費
 (5)農具の減価償却費等
 (6)水利費
 (7)畜力費
 (8)動力費
 (9)農業用建物及び工作物の減価償却費等
(立竹木)
第二十九条 立竹木の伐採除却を必要とする場合であつてその所有者が伐採除却により発生する材料を取得するときは、その立竹木の価額と、その立竹木の伐採除却に要する費用の合計額から、伐採除却により発生する材料の価額を差し引いた額を損失補償額とする。
(立毛)
第三十条 買収する土地における立毛については、それぞれ次の各号により算定した額を損失補償額とする。
 一 農作物については、その農作物の粗収入見込額から買収開始時以後に通常投下さるべきその農業経営費を差し引いた額
 二 牧草、落葉、小柴等については、前三年間の平均採取量を基礎とした粗収入見込額から買収開始時以後に通常投下さるべき経営費を差し引いた額
 三 移植不能の果樹、桑樹もしくは茶樹、うるし樹、はぜ樹等の特用樹又は松たけ等の特産物については、第一号に準じて算出した額
 四 筍については、その採取の時期にあるものにつきその山渡価額
(薪炭生産者)
第三十一条 財産が薪炭の生産を営むために利用されている場合において、財産の買収によりその業務が客観的に不能となるときは、推定年間収益の一箇年分を損失補償額とする。但し、推定年間収益に乗ずべき期間は、実情に応じ伸長することができる。
(兼業及び副業)
第三十二条 財産が兼業又は副業を営むために利用されている場合において、財産の買収により兼業又は副業が客観的に不能となるときは、推定年間収益の一箇年分を損失補償額とする。この場合推定年間収益に乗ずべき期間については、第三十一条但書の規定を準用するものとする。
(鉱山)
第三十三条 財産の買収により鉱区の特定範囲の鉱物の掘採が不可能となつた場合は、その掘採不可能になつた鉱区の範囲に応じて第二十五条各号に準じて算定した額を損失補償額とする。
2 財産の買収により漏水、浸水等により鉱業権者又は租鉱権者が損失を蒙つた場合は、その侵害に基く減産その他の損失を適正に算出した額と、その侵害を防ぐため客観的に必要と認められる設備、工事及び作業に要する費用とのいずれか少い額を損失補償額とする。
(採石)
第三十四条 採石権の設定されている地域において、前条の規定を準用する。
(建物、工作物及び設備の移転又は移築)
第三十五条 買収する土地にある建物、工作物及び設備を移転又は移築するときは、その移転又は移築に要する費用とこれに伴い通常生ずべき損失との合計額を損失補償額とする。但し、移転又は移築の費用とこれに伴い通常生ずべき損失との合計額は、当該建物、工作物及び設備の推定再建築費又は再取得価額を買収開始時までの経過年数及び維持保存の状況に応じて減価した額を超えないものとする。
(立竹木等の移植)
第三十六条 買収する土地にある立竹木を移植する場合は、移植に要する費用(堀起し、運搬及び植付費用、以下同じ)を損失補償額とする。但し、その立竹木の価額を超えない額とする。
2 買収する土地にある移植可能の果樹、桑樹、茶樹、うるし樹又ははぜ樹等の、永年生作物については、移植に要する費用と、収穫の減損予想額との合計額を損失補償額とする。但し、それぞれの樹木の価額を超えない額とする。
3 買収する土地にある椎たけ等の移植可能の特産物を移植する場合は、移植に要する荷造り費、運搬費、収穫の減損予想額及びその他特産物に応じて必要な経費の合計額を損失補償額とする。但し、その特産物のぼた木等の価額を超えない額とする。
(動産の移転)
第三十七条 買収する土地にある動産を移転する場合は、その動産を移転するに要する荷造費、運搬費及びその他の必要な経費と、これに伴い通常生ずべき損失との合計額を損失補償額とする。但し、移転費と、これに伴い通常生ずべき損失との合計額は、その動産の新品取得価額を使用開始時までの経過年数及び維持保存の状況に応じて減価した額を超えないものとする。
(養殖物)
第三十八条 財産の買収により養殖中のものを収穫することが不可能となる場合は、その養殖中のものの粗収入見込額から買収時以後に通常投下されるべき漁業経営費を差引いた額を損失補償額とする。
2 財産の買収により養殖中のものを他の水域に移殖することが適当であると認められる場合は、その移殖に要する経費及び収獲の減損予想額の合計額を損失補償額とする。
(移転旅費及び雑費)
第三十九条 買収する土地から人員が移転する場合は、その移転に要する旅費及び日当の実費並びに広告費、交通費等の経費のうち移転に必要と認められる費用相当額の合計額を損失補償額とする。
(仮住居使用料)
第四十条 建物の買収等により他に一時仮住居又は仮公舎を必要とするときは、次の各号により算定した額を損失補償額とする。
 一 住宅については、買収する建物の賃借料相当額の三箇月分以内の額
 二 公舎については、買収する公舎の賃借料月額相当額に必要と認められる期間の月数を乗じて得た額
(祭費)
第四一条 買収する土地に存する神社、仏閣、教会、墓地等の宗教上の施設を移転、移築又は除却する場合は、その移転、移築又は除却に要する費用と、移転、移築又は除却に伴う供養、祭礼等の宗教上の儀式に要する費用との合計額を損失補償額とする。
(休業補償)
第四十二条 財産の買収のため店舗、営業所又は事業場(以下「事業所」という)が一時休業する場合は、事業所が移転するに通常必要とする休業期間に応ずるその営業の予想純収益額を損失補償額とする。但し、自家営業の場合の予想純収益額には、自家労働の評価額を含めるものとする。
2 財産の買収のため兼業又は副業を一時休業する場合にも前項に準ずる。
(休業手当)
第四十三条 財産の買収のため事業所が他に移転する期間事業主がやむを得ず従業員を就労させることが出来ない場合において従業員に対して休業手当を支給するときは、その従業員の平均賃金に移転のため通常必要とする休業期間を乗じて得た額を損失補償額とする。
2 平均賃金の算定に当つては、電源開発等の着工の直前三箇月間(漁業及び林業にあつては、電源開発等の着工の直前一箇年間)の平均とする。
(解雇予告手当)
第四十四条 財産の買収のためやむを得ず事業を縮少し又は廃止する場合において事業主が従業員を解雇し、解雇予告手当を支給するときは、事業主が従業員に対して支給する解雇予告手当を損失補償額とする。
(退職手当)
第四十五条 財産の買収のため労働基準法第八条の適用を受ける事業がやむを得ず事業を縮少し、又は廃止することにより、事業主が従業員を解雇する場合において、事業主が退職手当の支給について労働協約、就業規則等による支払義務を負担しているときは、事業主がその従業員に対して支払うべき退職手当相当額から事業主がその従業員に対して積立てている退職手当相当額を差し引いた額を損失補償額とする。但し、労働協約、就業規則等が財産が買収されることを見越して変更されたと認められる場合は、変更前のものによる。
(漁夫補償)
第四十六条 第二十七条各号に掲げる漁業者に雇ようされる者が、財産の買収のため失業する場合は年間賃金の、就労を制限されその支給される賃金が平均賃金に達しない場合はその差額(就労制限の状況に応じて減額したものをいう。以下同じ)の、それぞれ一箇年分を損失補償額とする。この場合、それぞれの賃金に乗ずべき期間については第三十一条但書の規定を準用する。
(雇よう者補償)
第四十七条 前二条及び第六十八条第二項に規定するものの外、財産の買収のため雇ようされている者が、失業する場合は年間賃金の、就労を制限されその支給される賃金が平均賃金に達しない場合はその差額のそれぞれ一箇年分を損失補償額とする。この場合それぞれの賃金に乗ずべき期間については、第三十一条但書の規定を準用する。
(仕掛品)
第四十八条 財産の買収により事業の継続が客観的に不可能となりその事業所の生産及び加工の過程にある仕掛品の完成を妨げる場合は、その仕掛品の原料費と加工費との合計額からその残存価額を差し引いた額を損失補償額とする。
(残存財産)
第四十九条 同一の土地、建物又は工作物の所有に属する一団の土地、建物又は工作物の一部を買収する場合において、残存財産の価額又は使用価値を減じたときは、その減少額を損失補償額とする。
2 残存財産に鉄道、軌道、道路等の通路、溝、垣、柵その他の工作物の新築、改築、増築、移転、移築若しくは補修又は盛土もしくは切土をする必要があるときは、これに要する施設費を損失補償額とする。
(隣接財産)
第五十条 財産の買収のため残存財産以外の財産に鉄道、軌道、道路等の通路、溝、垣、柵その他の工作物の新築、改築、増築、移転、移築若しくは補修又は盛土もしくは切土をする必要があるときは、これに要する施設費を損失補償額とする。
(少数残存者)
第五十一条 電源開発による同一部落内の大部分の住民の移住により著しく経済的損失を受ける者に対しては、個々の実情に応じて適正に損失補償を行うものとする。
(測量実地調査等)
第五十二条 財産の買収に先だち、測量し、調査し又は障害物を除却しもしくは伐採したときは、相手方が現に蒙つた損失を適正に算定した額を損失補償額とする。
 第二節 財産の使用による賃借料及び損失補償額
  第一款 賃借料
(算定の基準)
第五十三条 財産を使用する場合には、この節の定める基準により一年分の賃借料相当額を算定し、使用期間(収穫季節のある土地にあつては、使用期間の属する収穫季節の期間)に対応する額を賃借料とする。
(農地)
第五十四条 農地の賃借料は、次の各号により算定した額とする。
 一 土地台帳の地目に関係がなく、農耕地、採草地、放牧地等として使用されている土地で、使用により農業経営が不能となる場合は、使用する土地の農業経営から得られる推定農業粗収入から支出すべき推定農業経営費を差し引いた推定年間農業収益額の八十パーセントの額
 二 使用する土地の一部または全部について農業経営が可能であるときは、前号の推定農業収益額により、その農業経営によつて得られる推定農業収益額を差し引いた額の八十パーセントの額
(土地)
第五十五条 土地(農地を除く)の賃借料は、統制額のない場合にあつては富裕税評価額に土地資本に対する年利廻を乗じて得た額と固定資産税額との合計額とする。
(建物)
第五十六条 建物(付帯設備を含む。以下同じ)の賃借料は、統制額のない場合にあつては、富裕税評価額に建物資本に対する年利廻を乗じて得た額と固定資産税額、減価償却費相当額及び火災保険料相当額との合計額とする。
2 富裕税課税の評価方法によることができない場合は、近傍類似の建物の坪当り価額に準じて得た額に減価償却費相当額及び火災保険料相当額との合計額とする。
(建物の一部)
第五十七条 建物の一部についての賃借料は、前条により算定した建物全部についての賃借料に建物全部の使用面積に対するその一部の使用面積の比率を乗じて得た額とする。
(工作物及び設備)
弟五十八条 工作物及び設備の賃借料は、第五十六条に準じて算定した額とする。
(動産)
第五十九条 動産の賃借料は、必要経費と火災保険料相当額との合計額とする。但し、事業用動産であつて固定資産税が賦課されているものについては、その税額を加算する。
2 前項の必要経費は、時価に動産資本に対する年利廻を乗じて得た額と減価償却費相当額との合計額とする。
  第二款 使用に伴う損失補償額
(工作物及び設備の修理費)
第六十条 使用中の土地において利用している水路その他の工作物及び設備の毀損した場合は、その補修に要する施設費相当額を損失補償額とする。
(準用規定)
第六十一条 第二十九条から第五十条まで及び第五十二条の規定は財産の使用に伴う損失補償について準用する。
  第三款 使用した財産の返還に伴う損失補償額
(土地)
第六十二条 使用した土地を返還する場合において、その土地を原状に回復することを必要と認めるときは、原状回復に要する費用の額を損失補償額とする。
2 使用した土地を原状に回復しないで返還時の視状のまま引渡すときは、その土地の形質変更によつて生じた損失を適正に算定した額を損失補償額とする。
3 前二項の場合における損失補償額は、その土地の買収価額を超えないものとする。
(建物、工作物及び設備)
第六十三条 使用した建物、工作物および設備を返還する場合において、その建物、工作物及び設備を原状に回復することを必要と認めるときは、原状回復に要する費用の額を損失補償額とする。
2 使用した建物、工作物および設備を返還時の現状のまま引渡す場合において、使用開始時の原状における返還時の価額が、返還時の現状における返還時の価額を超えるときは、その差額からその期間に応ずる減価償却費相当額を差引いた額を損失補償額とする。
(動産)
第六十四条 使用した動産を返還する場合においてその動産が滅失したときは、その動産の新品取得価額を滅失時までの経過年数に応じて減価した額を、その動産が毀損したときは、返還時の価額と返還時の毀損状況に応じて減価した残存価額との差額を損失補償額とする。
(立竹木及び果樹等)
第六十五条 返還する土地に存する立竹木及び果樹等が、使用中に除去または滅失したときは、第十七条及び第十八条に準じて算定した額を、一部毀損があつたときは、その程度、割合に応じて適正に算定した額を損失補償額とする。
(復帰移転)
第六十六条 使用した財産の返還に伴い、必要と認められる人員又は物件の復帰移転を要する場合は、次の各号により算定した額を損失補償額とする。
 一 物件を移転する場合は、第三十五条および第三十七条の規定に準じて算出した額
 二 人員が復帰する場合は第三十九条の規定に準じて算出した額
(管理費)
第六十七条 使用した財産の返還に当りその財産(動産を除く)の原状回復又は補修をしなければ所有者又は賃借権者が従前の用途に利用できない場合は、その原状回復及び補修の程度に応じて、その財産の三箇月分以内の賃借料相当額を損失補償額とする。
  第三節 その他の損失補償額
(流木補償)
第六十八条 慣習により又は許可をうけて木材の流送を行つている者に対しては、発電のため必要とするダム、水路その他の工作物の設置等によつて木材の流送に支障を与える場合は、その損失を適正に算定した額を損失補償額とする。
2 木材の流送に従事する者が、ダム等の設置によつて失業する場合は年間賃金の、就労を制限されその支給される賃金が平均賃金に達しない揚合はその差額のそれぞれの一箇年分を損失補償額とする。この場合、それぞれの賃金に乗ずべき期間については、第三十一条但書の規定を準用する。
(砂れきの採取)
第六十九条 許可をうけて砂れきの採取を行つている者に対しては、発電のため必要とするダム、水路その他の工作物の設置等により砂れきの採取に支障を与える場合は、その損失を適正に算定した額を損失補償額とする。
(水利権)
第七十条 既存の灌漑排水権、飲料用水権、鉱工業用水権及び発電用水権の取消又は制限に対しては、それぞれの権利に基く用水に支障を及ぼす場合において、それぞれの実情に応じて適正に算定した額を損失補償額とする。
(温泉利用権等)
第七十一条 この要綱に掲げるものの外、土地収用法第五条に規定する権利を消滅又は制限する場合には、権利の内容に応じて適正に算定した額を損失補償額とする。





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