国立国会図書館から引用

日蘇中立条約成立ニ関連スル与論指導暫定方針

昭和16年4月18日 閣議決定

 方針
 条約締結ノ目的ヲ一般ニ浸透セシメ其ノ効果ヲ充ニ発揮セシムルト共ニ飽ク迄自主的精神ヲ以テ愈ゝ長期持久ノ態勢ノ下ニ国策ノ完遂ニ邁進スルノ覚悟ヲ国民ニ徹底セシムル様与論ヲ指導ス従テ苟モ条約ノ効果ヲ減殺スルカ如キ惧アル一切ノ言動ヲ排除ス
 本条約ノ締結ニ不拘共産主義ノ取締ハ一層強化スベキモ外部ニ目立ツカ如キ防共運動ハ之ヲ避クル如ク指導ス
要領
一、右方針ニ則リ強調スベキ主要ナル諸点左ノ如シ
 イ、三国同盟精神ノ拡充強化
 独伊両国ハ蘇連ト夫々不侵略条約及中立並ニ不侵略条約ヲ締結シ居ルニ不拘従来最モ問題多カリシ日蘇両国間ニハ何等斯ノ種協定存在セザリシ処本条約成立ノ結果日独伊三国ト蘇連トノ連環完成シ同盟条約ハ之ニ依リ大ニ強化拡充セラルルニ至レリ
 ロ、日蘇関係ノ正常友好化
 日蘇両国ノ関係ハ経済的ニモ地理的ニモ密接ナルベキニ不拘従来兎角明朗性ヲ欠キ往々ニシテ第三国ニ乗ゼラルル形勢アリタルガ本条約ニ依リ両国ガ永続的基礎ノ上ニ平和的且友好的関係ヲ確立セリ
 ハ、支那事変処理ヘノ前進
 本条約ノ成立ハ重慶側ノ抗戦前途ニ多大ナル精神的打撃ヲ与フルモノナルコト言ヲ待タズト雖モ皇国ノ支那事変処理延イテハ大東亜ノ平和確保ノ前途容易ナラザルモノアルニ付注意ヲ喚起ス
二、本条約ハ日蘇両国関係ノ将来ニ対シ重大性ヲ有スルニ鑑ミ左ノ如キ言動ハ厳ニ之ヲ排ス
 イ、本条約成立ガ皇国外交ノ成功ナルコトヲ強調スルノ余リ国民一般ガ有頂天トナリタルカノ如キ印象ヲ与フル言動
 ロ、国内ニ本条約ニ対スル意見ノ対立相剋ヲ生ズルガ如キ言動
 ハ、対蘇軍備縮減ヲ主張スルガ如キ言動
 ニ、対蘇国交調整ヲ利用シテ自己ノ勢力ヲ恢復又ハ扶植セントスル国内左翼分子ノ策動
 ホ、対蘇国交調整ヲ喜バザル国内一部思想団体ノ策動
 へ、三国同盟ノ強化ヲ喜バザル第三国ノ策謀
三、本条約成立ニ関連シ皇国ノ内外政治方針ヲ推測セシメ若ハ内外政治ニ不利ナル影響ヲ与フル惧アル言動ハ之ヲ慎ムヲ要ス
 例ヘバ左ノ如シ
 イ、対英米開戦ヲ示唆シ又ハ皇国ノ武力南進ヲ扇動スルガ如キ言動
 ロ、蘇連ノ援蒋行為絶滅ヲ速断スルガ如キ言動
 ハ、漁業問題、通商問題等ノ解決ヲ焦慮スルガ如キ言動
 ニ、本条約カ成立ヲ見タルハ「バルカン」方面ニ於ケル蘇連ノ不利ナル立場ニ基クモノナルカノ如キ言動

昭和16年前半

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